語るぬりかべ

語るぬりかべ

ぬりかべ体躯のアラサーが、美容と日々の暮らしに奮闘しつつ楽しみを見出す記録。

ズボラ人間はいかにして片付けを身に付けたか

聞いてください!!!お片付けが出来るようになったんですよ!!!なんなんだいきなりという話なんですが、いやもう革命的な進化です。一生ぐちゃぐちゃなままで生きていくのかと真剣に思っていた。でも、ほんとちょっとのコツと考え方の切り替えだけで、我が手中に、整った部屋が。最高!!!人間は変われる。

というわけで、今回はお片付けがテーマです。あくまで私なりのやり方ですが、何かのご参考になれば幸いです〜。

 

 

私ってこんなやつ

筋金入りの「片付けられない女」

お片付け、それは幼い頃からずっと私の乗り越えるべき課題でした。片付けにまつわる一番古い記憶は小学一年生の頃。今のご時世では完全にアウトな発言ですが、年配の女性の担任に「このクラスで一番片付けられなくて落とし物の多い女子は◯◯さん(私)」と全体の前で言われて衝撃を受けたことをよく覚えています。この時に受けた『あなたは他の人と比べて片付けることが苦手である』という客観的な評価は、良くも悪くも私という人間の下地になっていると感じます。

積み重なる「駄目人間」という自己認識

学校という集団生活の、言い換えればオフィシャルな場面でそんな不名誉な称号を授けられた私が家の中で片付けられる訳もなく、親にも常に叱られていました。「また出しっぱなし!」「なんでそんなに片付けられないの」「だらしない」「何度言えばわかるの」等、枚挙に暇がありません。これらのワードに聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。いやー、注意する方も嫌でしょうが、言われる方はもっと嫌なわけで。自分が悪いんですが。なので時間がある休みの日などに自分なりに(ここがあかんポイント)頑張って片付けるわけですが、ご想像通り数日もすればあっという間に元の有様。そして“また出来なかった”という失敗体験を積み、“私はどうせ出来ない”という誤学習をする。こんな負のループに陥っていたのが私という人間の来し方でした。今振り返ってみれば、

  1. 自分に合った片付けの方法を知らず、
  2. 整理整頓のコツを理解していなかった

ためにこういった事態に陥っていたというのがよくわかるのですが、当時はそんなこともわかりませんでした。ただただ、自分は片付けられない人間だなあという認識を強固にし、諦めの中で日々を過ごしていたように思います。

とまあこんな状態で、常に片付けや断捨離という言葉が頭の片隅をちらつきながらも大した進展を見せないまま三十路を過ぎていた訳ですが、出産を機に状況が一変します。と・に・か・く子どもの物が増える。人間が1人増えたので当然と言えば当然ですが、それにしたってオムツやミルクをはじめとするお世話用品、ベビー服の類、やたらとかさばるおもちゃおもちゃおもちゃ。極力物を増やさないように心掛けてはいても頂き物もあるし、そもそも子育てに必要不可欠なアイテムも沢山。あっという間に家が物で溢れていく状況に恐れをなし、こりゃ本腰を入れないと大変なことになると腹を括ったのでした。もちろん最初からスムーズに行った訳ではなく、試行錯誤を繰り返してようやく「自分にもできる片付け方」に行き着きつつある、という感じです。長くなりましたが、私ってこんなやつ!という自己紹介でした。

 

なぜ整理整頓は必要か

片付けられて整った部屋は快適である、というのは多くの人が実感を伴って頷ける所だと思います。そして、整ったデスクの人は仕事が出来る傾向にある、というのもおそらく同意して頂けるはず。ここに、片付け・整理整頓のひとつのポイントがあります。

整った環境=脳の負担が減る

人間の仕組みとして、大雑把に言うと「目から入る情報が多ければ多いほど、それを処理する脳の負担は増える」ということがあります。この2つの机のイラストをご覧ください。いらすとや様々やでぇ


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どちらが「一目見て(=脳の処理の手間をかけずに)必要なものがわかる」状態かは一目瞭然ですよね。つまり、片付けが行き届いていて整理整頓が行き届いた環境の方が、作業にかかる脳の負担は軽くなる訳です。要不要の判断に脳のリソースを割かれないわけですから、この積み重ねによって仕事の処理スピードが変わってくるというのは当然のことだと思います。しごでき人間になりたきゃまずはお片付けしなさい、とまあこういう話なんですよね。

職場のデスクという限定的な場でこうならば、「家」という広いスペースになった時にはどれだけの差が生まれるかと考えるとかなり恐ろしいものがあります。よく「部屋が汚くても死なない」と言いますが、「部屋が汚いことが原因で死んだ能力」はあると思うんですよね。死んだという表現が行き過ぎならば、片付けや整理整頓がなされないことにより、「本来は発揮できるのに生かされなかった能力」がある。なんてもったいない!!!以前Twitterで「部屋を片付けて初めて気付いたけど、散らかってる時はエネルギー持っていかれてた」という趣旨のつぶやきを見かけたことがあって。今探してもうろ覚え過ぎて見つけられなかったんですけど、本当に本当にそうだと思う。

ちなみになんですが、「創造性を問う課題をこなすには散らかった環境の方が有利」という研究結果があります。出典は『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』より。

この本は結構面白くて、明日からやってみようと思わせてくれる小ネタが多いので気になった方は是非。アマプラ会員だとKindleで無料で読めます。話を戻すと、確かに天才肌の持ち主の仕事場は乱雑な印象がありますね。坂口安吾とか、スティーブ・ジョブズとか。

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実は天才の証拠?クリエイティブな人ほど部屋が汚い理由 - ガールズマガジン

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ジョブズ、ピカソ、アインシュタイン、、天才・偉人たちの仕事場【まとめ】 | IDEAHACK

でもじゃあ自分は坂口安吾やスティーブ・ジョブズに匹敵するかと言うと、悲しいかな私を含めほとんどの人はそうじゃない。「俺は私は彼らに匹敵するレベルの創造的な仕事をしている!」と自信を持って言える人以外はお片付けをした方が得策と言えるのではないでしょうか。

更に後押し。これは皆様もご経験がおありかと思いますが、何気なく雑事をこなしていたらずっと考えていたことの解決方法がひらめいたとかあるじゃないですか。散歩しながら公式を考えた偉人とか。場や行動を変えるだけで脳の使い方も変わるので、普通の人にとってはそれだけで十分な切り替えになるんじゃないかなと思います。そもそも先程の研究はあくまで実験なので、条件統制のために散らかった部屋と整った部屋以外の場所には行けませんからねえ。うん、やっぱり片付けた方が良い。

 

持続可能であること is 最重要

じゃあ具体的にどうやって進めれば?という話なんですが、これはごくごくシンプルで

【減らす×整える】

王道のこの組み合わせ。目新しいことなんて何もありません。ただ、それより何より天にかけても心に留め置かねばならないのは、

無理なく続けられることです。片付けが軌道に乗ってから、片付けとダイエットとは本当によく似ているとつくづく思います。一念発起して取り組んでも三日坊主になりやすいという点と、自分に合ったやり方を見つける必要があるという点で。世の中のあらゆることは自己理解と習慣化が鍵となっているのかもしれませんね…

 

①減:「一日一捨」

一日一捨とはその名の通り、毎日ひとつずつ何かを捨てるというもの。これをアプリ化したのが、「みん断」です。

みん断・一日一捨

みん断・一日一捨

  • Takahiro Ichiki
  • ライフスタイル
  • 無料

apps.apple.com

私が片付けが出来るようになったのは、このアプリのお陰と言っても過言ではありません。一日一捨そのものは以前から知っていましたが、このアプリを使って初めて継続・習慣化できました。

一日にひとつだけ捨てればOKというそもそものハードルが非常に低いのが一日一捨概念の素晴らしいところなんですが、それでも過去の私は続かなかった。何故か?すーーぐに忘れるから!!!忘却は敵だ!!!しかし、毎日何度も手に取るスマホのホーム画面にこのアプリが鎮座していると、否が応でも目に入ります。また、ただ捨てるだけでなく記録を取るので脳にもより強く刻み込まれますし、視覚的にもわかりやすくて一層「行動が積み重なっていった感」がある。

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私は平日はバタバタしていてなかなか捨てる所まで辿り着かないので、休日にまとめていくつか捨てたらその日の分も遡ってクリア、というゆるゆる条件にしています。これも成功の重要な条件だと思っていて、私の場合は1日忘れると「あーまた忘れたダメだった」となりやすい(そして取り組むこと自体を諦める)んですよ。別に1日忘れようが2日空こうが1週間忙しくて手が付けられなかろうが、また再開できたらそれで良いんです。もちろんぶっ続けでやれりゃそれに越したことはないけど、ちょっとやそっと途切れた所で、今までの努力が水泡に帰す訳ではない。筋トレだって同じで、しばらくやらなければ筋肉こそ落ちるけれど、感覚そのものは磨かれているし記憶もされているので、また始めたら何もしていない時よりも速く元通りになります。継続と連続は違う、というのをどこかで読んだ記憶がありますが、まさしくそれなんですよね。→探してみたら多分こちらのツイートかと。ラジオ未視聴…

話を捨てに戻します。人によって何を捨てるのが負担か、もしくは何がつい増えやすいかは違います。私の場合はやっぱりファッション関係が難関でした。似たような人にお薦めするのは、パーソナルデザイン診断。自分に似合うもの、自分をよりよく見せてくれるものを知ると、それと異なるものは手放しやすくなります。

katarunurikabe.com

エコフやエコロモなど、百貨店が開催している服回収のタイミングに持ち込むのも良いですね。

エコフリサイクルキャンペーン - 大丸・松坂屋|ECOFF

2023年秋冬「ワールド エコロモ キャンペーン」開催情報 | ニュースリリース| WORLDコーポレートサイト

メルカリやジモティ、リサイクルショップなどを始めとして、ゴミとして捨てる以外にも手放す方法は様々あります。ご自身に合った方法でゆっくり進めていきましょう。

※ただ、メルカリの類は発送などの手間があるので面倒くさがりを自認している人にはあまりお勧めしません。売ればお金になるから捨てたくないと感じるアイテムはとりあえず保留にしておいて、その他の物から手放していくのがスムーズだと思います。そのうち見切りをつけたり重い腰をあげたりできるようになるはず。

 

②整:自己分析による傾向と対策

一日一捨が断続的にでもできている(花丸です)と、少しずつ「もっと整理したい!」という欲が頭をもたげてくるはずです。が。

焦らない。一気にやろうとしない。ここは頭の使いどころです。何故かというと、「どんな収納が使いやすいかは人によって違う」から。つまり、無意識的な自分の癖や生活習慣とじっくり向き合う時間がどうしても必要になってきます。なので、収納グッズを買うのはちょっと待った。どうしても分けたい衝動が抑えられない場合は、

  • 空き箱
  • 使っていない紙袋
  • 透明なジップロック

などにとりあえず入れておきましょう。その際、紙袋や空き箱など中が見えない物は何が入っているかわかるようにマジックで書いておくのがおすすめです。見えないとすーぐにブラックボックス化しますからね。忘れるし、いちいち開けないと思い出せない。

 

なぜ散らかるのかが見えてくる

こういった取り組みをしていると、ふとした瞬間に「これが手間だからやらなくなるんだよな」「ここに置いてたら駄目じゃね?」というポイントに気付くようになります。例えば、

  • 掃除用具を“わざわざ” “離れた場所に” 取りに行かねばならないので掃除の頻度が下がる
  • ある行動の動線上に保管スペースが設定されていない(ex.自転車の鍵とヘルメットがバラバラの位置にある)
  • “とりあえず置いておく場所”が決まってないので、置き場所に迷った物があちこちに散乱する(リビングテーブルは危険地帯)
  • 見えないものはなかったことになる(cf.存在を忘れてまだあるのに余計に買ったりする)

「は〜、自分ってこういうのが苦手で、だから今までここが片付かなかったんだ!」と気付けたらお片付けはもう8割以上終わったようなもの。何にでも言えることなんですが、とにかく自己理解があらゆる改善の鍵なんですよね。うまくいかないパーソナルな原因さえ分かれば対応策は自ずと見えてきます。

 

コツ・アイテムの導入

自分の無意識の行動の癖をしっかりと認識して初めて、収納におけるコツやアイテムを導入するターンに入ることができます。それが飲み込めてないうちに行動を起こすのは砂漠で方位磁針無しに歩き回るのと同じで、ゴールを見据え、そこに辿り着くまでの道順を飲み込んだ上で歩き出さないとそれこそ「徒労」に終わりかねません。お片付け本でよく言われるコツはこのあたりかな。

  • アクション数を減らす
  • 中身は見えるように
  • 同時に、視線を奪われ過ぎないように
  • 使う物は使う場所の近くに
  • 動線を意識

読むだけだと当たり前じゃん、という内容かもしれませんが、これが意外と自分の生活に落とし込めてなかったりするんですよ。理論はなんとなくわかっていても、いざ実践しようとすると難しい。だからこそ、自分の癖を「意識化」することが前段階として必ず必要になってくるなあと実感しています。

お片付けや収納にあたって便利だった物やお世話になっているグッズも当然あるのですが、この記事ではあえてお伝えしていません。結局暮らしってめちゃくちゃパーソナルなので、私にとって便利でもあなたにとって便利だとは限らないんですよね。でもこの記事で触れていないお気に入りの収納用品やアイデアも結構あるので、気が向いたらツイートするか、余力があれば記事にしたいと思います。こう言って本当に実現したことは果たしてあるのだろうか(反語)

 

人生は続く、お片付けも続く

ある程度この捨×整リズムに乗ってきて感じること。それは「片付け終わんなくね?」です。そう、片付けは、整理整頓は、終わらない。私やあなたが生きている限り、モノとの縁が切れることは絶対にないんですよね。そして、同じ日が二度とないように、生活は日々流転します。引っ越しや子育てや転職などのビッグイベントで生活が一変するのは当然ですが、たとえばスキンケアで使用する保湿クリームの容器がチューブからジャーに変わっただけでも、それに伴って適切な置き場所が変わる可能性があるわけで。だからこそ、自分に合った持続可能なお片付けを身に付ける必要がある。私はようやくそのことに思い至りました。無理は続かない。何度となく耳を通り過ぎていくような、ごくごくありふれた表現の意味を腹の底から理解できた瞬間のひとつです。

 

工夫で少しでも生きやすく

読んでいてなんとなくお気付きになったかもしれませんが、おそらく私は不注意傾向が相当に強い。手に持っていた物を無意識のうちにどこかに置いてしまい、「えっなんで無いの!?記憶もない!!」と唖然としたり、捜索に走ることが今でも毎日のようにあります。発達系の検査を受けたことはありませんが、受けたらまあ間違いなく何かしらの特性は出ることでしょう。それでも、様々な工夫やTipsを取り入れることで、それらをカバーしていくことは想像以上に広い範囲で可能になります。

もちろん元々なんでも完璧にできる人には敵わないかもしれませんが、工夫次第で「特に何も困らずに暮らしている普通の人」に近付く、並ぶ、場合によっては一足お先に進むこともできることもできるはず。あの徹底した効率化で有名な勝間和代さんも軽度のADHDと診断されています。

発達障害を明かした勝間和代、「自分の特性にあった最適解」を見つけて得た快適な日々 | ORICON NEWS

発達障害かどうかはさておき、「なくて七癖」という諺があるほどなので誰しも何かしら行動上の特徴や癖はあると思います。それを理解し、ひとつひとつに適したコントロール方法を見出すことは片付けに限らず"上手に生きる"ための秘訣なんでしょうね。勝間さんの本は読んだことがないから、これを機に読んでみようかなあ。

 

整理整頓でわたしをケアする

物の数を減らし始めて少し経った頃、処分する部屋着の選定をしていて「うーんヨレてきたけどまだ着られるしな」と迷ったTシャツが数枚ありました。その時、ふと「でもこれ、友達が泊まりに来たとしても貸さないよな(もっと綺麗なのを貸す)」と思って。これは完全に天啓だと思うんですが、「躊躇なく人に渡せるコンディションのものかどうか」という判断軸はすごく大事だと直感したんですよね。と同時に、「いや、自分にも同じ基準を適用しようよ!!!」と激しく突っ込みを入れることになりました。無意識のうちに、「部屋着だし」「誰が見る訳でもないし」と「どうせ〇〇だし」という"自分サゲ"を発動している。こりゃ大問題だわと反省しました。大事な人に接するのと同じように、自分にも接するべきです。だって自分も、少なくとも自分にとっては、間違いなく唯一無二で一生を共にする大事な人だから。この自分下げダブルスタンダード(今名付けた)が生まれる理由は自己評価の低さや諦め、もったいない精神など様々あると思います。何が端緒だったとしても、この傾向からは少しずつ脱していく方が精神的には健全なのではないかな。整理整頓は、セルフイメージと深くつながっているんだと学んだ出来事でした。

もうひとつ。先述したように、ライフスタイルや行動の特徴によって片付けや整理整頓の最適解は異なります。つまり、「私に合った/必要な処遇を、私自身がする」ことになる。快適に過ごせるように、よりよい暮らしが実現するように、私が私にアプローチする。これは最近よく言われるセルフケアの概念そのものなのではないでしょうか。何も「ごほうびスイーツ」や「いたわりバスグッズ」の類だけがセルフケアの遂行に有効なわけではなく、ケア=気に掛ける、という語義に立ち返ればその範囲は非常に広いと言えます。過言ではなく、整理整頓お片付けは生きる姿勢を反映しているなあと思います。

というわけで、let's お片付け!それではまた。